【とちの実笛】の作り方
「とちの実笛」はとちの実に穴を開けて、中身をほじって作ります。9月の初旬、トチノキの実が落ちてきます。これを拾ってきて、穴を開けて、中身を「ホジホジ」します。とちの実は3cm程度の大きさですが、この中身をキレイに「ホジホジ」するのはなかなか大変。初めてだと1時間ぐらいかかります(なれてくると20分ぐらい)。でも、できあがったとちの実笛を唇にあてて、ふーーっと息を吹き込んで、ピーーッと音が鳴ると、やった~!なかなか楽しいです(^o^)/
■用意するもの
・とちの実(これを入手するのが一番難しいですね~)
・ドリル(とちの実に穴を開けるのに使用)
・木工用ドリルの刃:直径10mmぐらい
・彫刻刀(丸刀)
・金属製の耳かき(とちの実をキレイにホジホジするには金属製の耳かきが一番)
・ピンセット(彫刻刀や耳かきで削りだした実が掻き出せないときに、あると便利)
■トチノキ,とちの実
とちの実笛を作るには、まず、とちの実を拾ってくるか、どこからか入手しないと作れません(^^;
トチノキってどんな木? いつ頃実がなるの~?
左の写真がトチノキです(この木は、東京都府中市の多磨霊園内のトチノキ並木)。右の写真はトチノキに実がなったところ。この実の中に(栗のように)1,2個の固い殻を持つ実が入っています。実がなって落ちてくるのは8月下旬から9月いっぱいぐらい。
(多磨霊園ではこの時期の早朝、とちの実争奪戦が繰り広げられています(^^;)
とちの実笛を作るには、木から落ちたばかりの乾燥していない実を使います。乾燥したとちの実は堅くて掘れません。つまり、とちの実笛作りは、一年でこの時期しか作ることが出来ないものなのですね~。
■作り方
とちの実にドリルで穴を開けます。穴を開ける位置は、お好きなところに。穴の深さは、出来るだけ深く、でも反対側に突き抜けてしまわないように(^^;
※ドリルで出来るだけ深く穴を開けておくと、その後のホジホジ掻き出す実の量が少なくなるので、作業がちょっと楽になります。
ドリルで穴を開けたところ。とちの実のツルツルした側と、ザラザラした側の境に穴を開けると、ポケモンのモンスターボールに似てませんかね~?
穴を斜めから見ると…中に薄黄色の中身が見えます。次はこれを彫刻刀で掘り出します。
※穴開けは拾ってきた当日に行い、彫刻刀で掘り出すのは翌日行うとホジホジが楽です。→作り方のノウハウ
彫刻刀(丸刀)で中身を掘り出します。穴から斜めに彫刻刀を差し込んで掘り出します。殻を突き破らないように注意してください。彫刻刀だけでは中身を全部掘り出せません。次のステップでは金属製耳かきで中身を掘り出します。
彫刻刀で彫りだした中身です。彫刻刀で掘り出すのが一番効率がいいので、この段階で出来るだけ多く中身を掘り出しておきましょう。くれぐれも、殻を突き破ったり、怪我などしないように・・・
子どもが小学校で使っていた彫刻刀では、彫刻刀が実の一番奥まで届きませんでした。また、殻と実の境目も彫刻刀ではキレイに掘り出せません。
そこで「耳かき」の登場です。竹製の耳かきでも掘れなくはないですが、掘っているうちに力が入ってきて、途中で折れました(^^; 千枚通し、ピンセットなど色々試した結果、金属製耳かきがベストでした(^^)v
耳かきでは、掻き出すだけでなく、殻と中身の境に耳かきの先端を当てて押し込むようにすると、中身がベリ~っと剥がれます。穴よりも大きく剥がれることもありますので、それを取り出すにはピンセットがあると便利です。
耳かきで掻き出した中身です。殻に近い渋皮のところを掻き出してますから、身の色が薄黄色から、茶色が混じる色に変わっています。
これで全部掻き出したぞ!と思っても、穴の中に光が入るようにして、中をよ~く見ると、白っぽい部分が残っていることがあります。掘り残しですから、根気よく掻き出しましょう。
最後に水洗いして(中から細かいカスが出てきます)、乾かして、完成です。
さぁ!吹いて鳴らしてみましょう。最初はうまくならないかもしれませんが、唇に当てる角度を変えて、何度も試せば・・・ほら、鳴った!
乾燥したとちの実笛の表面をよく見ると・・・あれ?木目みたいな模様が見える! 実を拾ったときには見えなかった模様が見えてきて不思議です。この模様が、なかなか味わいがあっていいんです(^_^)
※関連記事
2011/10/16 とちの実笛
2012/10/13 とちの実笛
2013/10/05 とちの実笛を作りました~
2014/10/04 今年も「とちの実笛」を作りました~♪
2015/09/22 とちの実笛を作りました~2015
※【とちの実笛】の作り方は、2008/9/20に「科学体験クラブ府中」のホームページに載せてもらったものです。そのホームページサービス dion.ne.jp が利用者減少のため2017/10/31でサービス終了となるため、この記事はオリジンの「あうるの森」 に載せとくのがいいよね~ ということで、「おかえりなさい」です(^o^)
トチの実を拾っていると…「トチの実を拾って栃餅にするんですか?」と聞かれることがあるんですけど、栃餅を作るのはと~っても大変なので、それをしたことはありません💧
どのくらい大変なのかは↓こちらの動画をご覧ください。
とちもちができるまで〜鳥取県 三朝町に古くから伝わる”栃の実”のアク抜き技法からお餅づくりまで〜
栃の実の灰汁抜きのところでは…
『一年間かけて溜めてきた灰を乾燥させるために焼き入れを行う』
『アク抜きに使用する灰は、クヌギ・ケヤキの様な堅い木の生木を燃やしたものがよい』
…竈(かまど)で薪を燃やす生活をしていない現代人には困難な作業ですね。
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