貝殻拾い【ヒガイ】織機の杼(ひ)に見立てて【杼貝】
貝殻拾いのお友達K子さんと千葉・館山・塩見→坂田に貝殻拾いに行って
小さいけど割れてない【アオイガイ】拾った~んですけど、
他にも 初物・逸品を拾ってまして、2番目の逸品が…
ヒガイ(杼貝)ウミウサギガイ科です。
私にとっては初物です!
これ、ウミウサギ系の何だろね~? と、調べてみると「ヒガイ」でした。
「ヒガイ」を変換すると「被害」が出てきますが(^^;
「杼貝」です。杼(ひ)は、機織り(はたおり)に使う道具です。
ヒガイ (貝) - Wikipedia …『貝殻の水管部が管状に伸びた姿が織機の杼(シャトル)の形に似ることから命名された。』
シャトル (織物) - Wikipedia …『シャトル(シャットル、shuttle)あるいは杼(ひ)とは、織物を織るときに、経糸(たていと)の間に緯糸(よこいと・ぬきいと)を通すのに使われる道具である。』
※中島みゆきの『糸』では…
♪縦の糸はあなた~♪
♪横の糸はわたし~♪ ですが、
機織りでは…
経糸(たていと)
緯糸(よこいと)です。
↑この字、ちょっとなじみないですよね~
と思ったけど、身近にあった。
地球儀を思い浮かべてくださいね。地球儀には縦横に線が描かれてますね。
経度:経糸
緯度:緯糸
↑こう並べて見ると、あ~そうだったのか!
では、杼貝(ひがい)と杼(ひ)も並べて見てみましょう。
ん~この杼(ひ)と杼貝(ひがい)はそんなに似ていませんね~
それは、たぶん・・・
この杼(ひ)は高機(たかばた)で使う杼だからです。
機織り(はたおり)と聞いて思い浮かべるのは~
こういうのじゃありませんか?⇒「高機」で画像検索
高機(たかばた)が使われるようになったのは…
⇒織機の変還|夢織人によりますと、幕末頃からだそうです。
それまでは「地機」(じばた)という織機が使われていました。⇒「地機」で画像検索
地機(じばた)の杼は「刀杼」や「打杼」で、
⇒刀杼のはなし|富田林市文化財課より
↓こんな形です。
これなら、杼貝と結びつきますよね(^o^)
でも、この形を見て「杼」をイメージするのは、現代人の感覚にはありませんよね。
貝の和名は江戸時代以前に付けられたものが多いから~
「目八譜」に出てるかな? と探していていいもの見っけ!
⇒博物図譜データベース|東京国立博物館 研究情報アーカイブズ
このページで検索キーワードに「杼」と入力して検索すると…
出てきました。『H0017230 目八譜(09:螺類;細長者) //かい まきがい ぶんしょう //杼介 緑巻 放校 両口 飯頭』
こう記されています…『石壽之形紡車ニ糸ヲ巻タル如ク或ハ機杼ニ似タルヲ以テ名付タルヘシ』
機(はた)の杼に似てるから「杼貝」と名付けたよ。ってことかな。
はぁ~ ここまで調べるのに何時間かけたことか(^o^;
なんでそこまで「杼貝」の由来を調べたかというと~
私、昔(ん十年前に)機織りをしてたんです。山形で半年ほど機織りを習って~
こっちに戻ってから織機(高機)を買って、トンカン組み立てて~
夜な夜なパッタンパッタン機織りしてたんです。「絶対に覗かないでくださいね」と言って(^o^; その頃は独り暮らしでしたけど。
その織機は引っ越しの時に手放してしまいましたが、杼は何本も持っていたので、杼だけいくつか手元に残しておいたの。
ヒガイを拾って、それが「杼貝」だと知ったので、これは杼と貝を並べて写真を撮らなくちゃ!と、押し入れの天袋の奥から発掘してくるの大変でした~
手前の木肌ツルツルのが私が使っていた杼で、奥の古びた杼は古道具屋さんで見つけて購入したもの。
杼の中央に穴が開いてますね。ここに緯糸を巻いたボビンをセットし、糸は横に開いた小さな「糸口」から外に出します。
私の手元に残っていた杼はこ2本だけじゃなくて…
7本もあった。右側の5本は古道具屋さんで…
貝殻、木の実に限らず、私の収集癖って。。。と思ったんですが、「収集癖」で画像検索すると… 私なんてまだまだひよっこですね(^o^;
※関連リンク
「杼」や「織機」を検索していたら色々面白いページを見つけたので、リンクを張っておきます。
⇒『杼屋(ひいや)のこころ』ー長谷川杼製作所を訪ねてー 杼製作職人 長谷川淳一さん|上京ふれあいネット
長谷川さんの作る杼は赤樫の木からつくられます。
赤樫に留まらず、例えば糸を通す部分に使われる「糸口」。これも単なる瀬戸物ではなく、実は清水焼!
⇒杼製作職人 文化庁指定 選定保存技術保持者 長谷川淳一さん|こだわり近畿 こだわり京都
京都の杼屋(ひいや)は一軒だけになってしまったそうで、それをなんとかしようという取り組みが…
⇒Fusion 360の活用で西陣織の重要部品「杼」を再生 3Dプリンターを使うんだ~!
トヨタ産業技術記念館に行ってみた~い
⇒実演で学ぶ機織技術の発展
⇒トヨタのはじまりは繊維機械から「繊維機械館」
「バッタン」って「飛杼」のことで、フランス語 battan なんだ~!
⇒バッタン|コトバンク
機織りしてるYouTubeの動画
⇒高機(たかばた)の杼と
⇒地機(じばた)の杼の違いをご覧ください。
⇒桐生・織物参考館「紫」半高機 飛杼が飛ぶとこ見られます。
⇒「工房 絲遊」の手織り・裂き織り教室 織るのも大変だけど、経糸張るのも大変なんです。
※関連記事
私、機織りと組紐をしてたんで…
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コメント
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何と、実際に杼を使って機織をされていたんですね!
この貝もきれいな貝ですが、お目にかかったことがありません。
目八譜の絵は色合いもいいですね。大きい貝は大きく、小さい貝は小さく描かれていますね。
私も機織りのことを記事にしたことがあります。
https://kasabuta740.blog.fc2.com/blog-entry-13.html
昔からやられていたことを、現代になってやめてしまうのは惜しいですね。
投稿: | 2020年3月20日 (金) 20時26分