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2021年1月10日 (日)

常識をひっくり返す! トグロコウイカは殻を上じゃなくて下にして浮遊してた~!

トグロコウイカSpirula spirula)は ↓こっち向き!
Spirula-spirula-upside-down
The First In Situ Observation of the Ram’s Horn Squid Spirula spirula Turns “Common Knowledge” Upside Down(Dhugal J. Lindsay 他 2020)より
どういうことか図解しますと…
Spirula-upside-down-i

去年、石垣島 貝殻拾いの旅に行って拾ったレアもの初物の貝殻のイチオシが【トグロコウイカ】の殻で、それをツイートしたら漂着物学会の寺本沙也加さん(潜れさやかさん!)より論文投稿することをすすめられました。せっかくいいもの拾っても論文にしないと学術的な記録として残らないのだそうです。
でも私、論文なんて書いたことないよ~💧 寺本さんとの共著でという話もあったのですが、私が拾ったトグロコウイカの殻を見て「これは連室細管の穴だよ~!(*゚o゚*)!」と興奮気味だった《あうるの森サイエンスラボ》が、論文書くよ!ということで、そちらと共著で漂着物学会誌に投稿しました~(8/12) 査読を受けて~ 受理されて(9/15) ほっと一息。これで心置きなく奄美大島 貝殻拾いの旅に行けます🙂

ところが(10/27) 世界初!かもしれないトグロコウイカの生態動画がツイートされて、バズってました。

何と言っても、え!そっちが上なの~😲 衝撃の事実判明!
だって、私が投稿した論文にはこう書いてる…

殻が浮力を持つため,殻のある体後端を上にして,垂直に浮遊しているらしい.(奥谷 2015)
奥谷喬司. 2015. 新編 世界イカ類図鑑. 東海大学出版部. 246pp.

そう、これまでトグロコウイカは殻を上にして浮遊しているとみんなが思っていたのが逆だったんです。
でも、もう論文は受理されてるし~
漂着物学会誌が届いたら、このことをブログに書いておこ! と、只今書いてる次第です😅
でも上記ツイート 1つで定説が覆るの? やっぱ論文として世に出て、そこで認められたことになるんでしょうね?
では、その論文を検索してみましょう。
上記ツイートは英語だったので、論文も英語だと思われるので、Spirula - Wikipedia から適当にそれらしいキーワードを選んで検索したら…
みっけ!
The First In Situ Observation of the Ram’s Horn Squid Spirula spirula Turns “Common Knowledge” Upside Down
英語だからGoogle先生に翻訳してもらいましょう🙂⇒このページを訳す
翻訳されたタイトルが…
ラムの角イカ トグロコウイカの最初のその場観察は「常識」をひっくり返します
『Turns “Common Knowledge” Upside Down』が
『「常識」をひっくり返します』という翻訳に。なるほど~
あ、この論文の筆頭執筆者 ドゥーグル・J・リンゼイ博士は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)にいらっしゃるんですね。この論文は2020/11/27公開となってました。


トグロコウイカ - Wikipedia の記載もこの事実を反映して更新されていました。

また、殻が浮力を持つため、通常は頭を下にした姿勢を取ると考えられていた[5]
しかし、(中略) トグロコウイカが泳ぐ様子を撮影することに世界で初めて成功した。その結果、殻を下にして頭は上にして泳ぐという事が判明した[6]

あ~ この出典[6] は論文ではなくて、YouTubeの ↓こちらの動画になってますね。

この動画 1時間7分もあって、13:20 水深835mでトグロコウイカの姿を捉え、17:00 水深861mで大きく写ってます。
トグロコウイカは頭を上にして浮遊しているので、漏斗から水を吹き出すと下に潜ります。危険を察知したとき逃げる方向は下の方が捕食されにくいと思われますので、頭が上で体を縦にして浮遊しているのは、とっても理にかなった(進化によって獲得した)形態なんですね~
浮力のある殻を下にすると、水中では軽い方が上になる力が働きますから、トグロコウイカは殻を下にした姿勢を保つために、体の下にある「ひれ」を小刻みに動かしてバランスをとってます。それって大変そうに思えますが《あうるの森サイエンスラボ》によりますと『人間が二本足で立っていられるのと似たようなもん』だそうです。


英語版Wikipediaの SpirulaBehaviourには次の記載があり…

Evidently this seems as a counter-illumination strategy, as in-situ observation have capture footage of animals in a
vertical stance, with photophore pointing downward, and head up.[9]

出典は[9] で、私が探し出した論文と同じものでした。これをGoogle先生に翻訳してもらうと…

明らかに、これは逆照明戦略のように思われます。その場での観察では、発光器が下を向き、頭を上に向けて、垂直姿勢で動物の映像を捉えているからです。[9]

「頭を上」と書いてますが、それより「発光器が下を向き」の方に注目していますね。
ところで、counter-illumination(逆照明)って何? これもGoogle先生に翻訳してもらうと…

中深層の海洋動物は、下から見ると明るい水面に対して暗く見える傾向があります。彼らは、しばしば捕食者からだけでなく、獲物からも、下向きの表面に生物発光器で光を生成し、背景に対するシルエットのコントラストを減らすことによって、自分自身をカモフラージュすることができます。

なるほど~! それで、発光器が下を向いていることが重要なんですね。
中深層の暗い海中で上側を光らせたら、自分より上にいる捕食者に「私はここにいますよ!」とお知らせしてることになっちゃいますもんね💧

あ~これ、魚のお腹が白くて、背中は暗い色をしてるのと同じことですね。
カウンターシェーディング - Wikipedia


漂着物学会誌 Journal of Japan Driftological Society
Volume 18 December 2020
Jjds18Jjds18spirula
私、2013年から貝殻拾いにハマって、貝殻拾い8年生ですけど、自分が論文の筆頭執筆者になるとは思ってもみませんでした😊
論文とは言っても、論文〔Articles〕ではなく、記録〔Records〕ですけどね。



※関連記事
2020/06/28 【トグロコウイカ】の殻…石垣島 貝殻拾いの旅で拾った逸品
Spirula200623v

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コメント

久しぶりに訪問させていただきました。
遅ればせながら、学会誌への論文掲載おめでとうございます。素晴らしいです!あうるの森さんのたゆまぬ探究心の成果ですね‼︎
6月のトグロコウイカの殻に見惚れていましたが、今回はその泳ぎ方、発光器が下向きの理由…など貴重なことをたくさん教えてくださって感謝!です。
後期高齢者としては、今のところ海行きはストップしてますが、その分ブログで楽しんでいます。また素敵な貝との出会いを伝えてくださいね。

のんのんばぁさん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。そこまで言われると照れます😊
論文掲載と言っても、私はトグロコウイカの殻を拾っただけですけど💧
ふつう研究や執筆に最も貢献度が高い人物が筆頭執筆者になるそうで、私が拾ったからこの論文があるので、だから筆頭執筆者なんだそうです。
あ、拾っただけじゃなく、引用文献探しと校正しました。1ページの論文(記録)ですけど、引用文献は7。適切な引用文献を探すだけでも大変でした。そのために「トグロコウイカ」をかなり🔍しました。

> 今のところ海行きはストップしてますが、その分ブログで楽しんでいます。
コロナ禍で私も海に行くのは控えなくちゃな~と…
今はSTAY HOMEで、これまで拾うばかりで放置してた「同定」を『自分を鍛える企画』として、twitterでツイートしてます。https://twitter.com/owlswoods

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