貝殻拾い【ワスレガイ】などなど…鵠沼海岸
夏の科学イベントの材料調達の為、鵠沼海岸~由比ヶ浜に行ってきました。
この日は小田急の鵠沼海岸駅から鵠沼海岸へ
そして拾えたものが、ワスレガイ と ダンベイキサゴ と キンセンガニの甲羅
まぁ、普通種ですが、夏の科学イベント用ですから普通種でいいんです。数拾えれば😅
▼ワスレガイ(マルスダレガイ科)
↑離弁状態のワスレガイが100個
↓合弁のワスレガイが28個
画像をよ~く見ると分るんですが、大部分の貝殻に穴が開いてるんです。ツメタガイに穿孔された穴が💧
合弁の28個中、穴が開いてなかったのは下段の4個だけ。なので、8割~9割がツメタガイに食べられて貝殻になっちゃたんですね💧
私、なぜかワスレガイをブログに書くのは初めてなので…
「ワスレガイ」で検索
⇒ワスレガイとは - コトバンク
『軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ科の二枚貝。房総半島以南の西太平洋に分布し、浅海の細砂底にすむ。殻長60ミリメートル、殻高70ミリメートル、殻幅25ミリメートルに達し、円形に近く、膨らみは弱い。殻は厚質堅固で、両殻をあわせるとレンズのようである。殻表は平滑で光沢があり、通常紫褐色で放射帯や細かい網目模様がある。殻頂の後ろに深くくぼんだ楯面(じゅんめん)があり、その中に靭帯(じんたい)がある。内面は紫白色、縁部は細かく刻まれる。』
なんか記述が本格的ですね~ と思ったら…
これを書いた人は[奥谷喬司]出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
あ~ 日本近海産貝類図鑑 の 奥谷喬司(おくたに たかし)さんでしたか。
『殻表は平滑で光沢があり、通常紫褐色で放射帯や細かい網目模様がある。』を観察…
『内面は紫白色』を観察…
内面は紫色~白色と色々でした💧
『殻頂の後ろに深くくぼんだ楯面(じゅんめん)があり、その中に靭帯(じんたい)がある。』を観察…
↑二枚貝の部位名を復習😅
そして、ツメタガイはたいてい殻頂に近い部分に穴を開けます。ここが一番穴を開けやすいからという説をどこかで読んだことがあるのですが、今ふと思った… 二枚貝って生きてるときは砂の中に横たわっているのではなく、殻頂を上にして砂の中に潜っているのですよね? その上にツメタガイが覆いかぶさったら、殻頂に穴を開けることになるんじゃないの? あ、二枚貝は殻長を上じゃなくて、水管を上にして潜ってるんでしたっけ?
ツメタガイに開けられた穴の位置について詳しく調べた資料がありました!
⇒穴開き貝殻の穴の不思議~穴の位置はなぜ同じ ? ~|自然科学のとびら[PDF]
あ~『自然科学のとびら』って、神奈川県立 生命の星・地球博物館の広報誌なんですね~
そして、自然科学のとびら Vol.14, No.1 に『穴開き貝殻の穴の不思議』を書いたのは、学芸員の佐藤武宏さん。
この記事を読んで「え、そうだったの!」と今まで知らなかったことが…
『ツメタガイ類は、足の部分を大きく広げ、砂に潜もぐって移動しながら、獲物である他の貝類を探します。』
砂の上を這っているんじゃないのですね。すると、二枚貝に上から覆いかぶさるわけではないんだ。
この記事では、なぜ穴の位置が集中するのかについて、4つの仮説を紹介しています。そして第四の仮説に『マルスダレガイ科の二枚貝では、殻頂付近に穴が集中していますが、ニッコウガイ科の二枚貝では、殻の中央付近に穴が集中しています。』と書かれていました。ん、そうですね。ワスレガイ(マルスダレガイ科)は殻頂付近に穴が集中していますし、ニッコウガイ科のカバザクラ(桜貝)は殻の中央付近に穴が開いているのが多かったです。
→2014/07/11 【ツメタガイ】に穿孔された【桜貝】【フジノハナガイ】【ハマグリ】
私、拾った貝殻をせっせと並べて写真を撮って… それには時間がかかって、そんなことしてる自分に「どうなのよ?」と思うのですが、一つ一つ並べているから「あ~ツメタガイに穴開けられてるの多いね!」と気づくわけで、まぁ、これも無駄ではないのかな😅
そして『穴開き貝殻の穴の不思議~穴の位置はなぜ同じ ? ~』この記事はすごい! 貝殻を並べてるだけじゃなくて、一つ一つ穴の位置まで記録してるんですよ! こういう地道な研究が新たな知見を私たちにもたらしてくれるのですね~😃
あ~また脱線してしまいましたが、今回「脱線」じゃなくて「検索」したかったのは、
ワスレガイって何で「忘貝」なの? 和名の由来は?
「ワスレガイ 由来」で検索すると…
⇒ワスレガイ | 軟体 | 市場魚貝類図鑑
『漢字 忘貝
由来・語源 『六百貝品』より。紀貫之『土佐日記』の「忘貝」とは別種であろう。由来・語源などは不明。』
…となってますが、先ほどの ワスレガイとは - コトバンクでは…
『古来、詩歌に名高い貝で、『万葉集』にも「いとまあらば拾ひに行かむ住吉の岸に寄るてふ恋忘れ貝」とある。』
⇒恋忘れ貝とは - コトバンク
『《その貝を拾えば恋の苦しさを忘れさせるというところから》ワスレガイの別名。』
へ~「恋忘れ貝」なんだ~
ところで、恋の苦しさを忘れるためには、二枚くっついて💛な「合弁」のワスレガイを拾うのでしょうか?
それとも、一つ一つ別れてしまったワスレガイを拾うのでしょうか?
あら?「恋忘れ貝」の恋しい人は「恋人」ではない?
⇒土佐日記「忘れ貝」原文と現代語訳・解説・問題|紀貫之 では…『亡くなった人だけを恋しがって』『死んだ子は、』とある。
⇒日本文学から見る貝の存在【竹取物語・土佐日記・万葉集】|hermioni.com では…『紀貫之の妻が土佐でなくなった我が子のことを想いだして恋しくなり詠まれた歌です。』とあり、
「分れた恋人」を忘れるんじゃなくて、「亡くなった我が子」を忘れるためにワスレガイを拾うのですね。それは切ない😢
※ワスレガイの由来について、もう少し調べてみました。→貝の和名【ワスレガイ】
鵠沼海岸で拾った貝殻を軽く載せておこうと思ったのに、またこんなに長くなってしまった💧
この日、鵠沼海岸では他にダンベイキサゴとキンセンガニの甲羅を拾っているのですが、それを別の記事にするとまた長くなるので、画像だけ軽く載せときます😅
▼ダンベイキサゴ(ニシキウズガイ科)
滑層が白いので「ダンベイキサゴ」ですね。
2016年に書いた自分の記事で確認しました😅
→貝殻拾い【キサゴ】【ダンベイキサゴ】…一色海岸・森戸海岸(葉山町)
ところで、ダンベイキサゴに付着していた↓この貝なに?
▼キンセンガニの甲羅
一つだけ、鉗脚(かんきゃく)と遊泳脚がついてるのを拾いました(完全体ではない)。
キンセンガニは甲の左右に張り出した側棘(そっきょく)をつなぐように並べると…
お手々つないで♪状態😅
去年は由比ヶ浜で、もっといっぱいキンセンガニの甲羅を拾ってた。
2020/06/05 初夏のビーチコーミング…【キンセンガニ】のファブリック?…鎌倉・由比ヶ浜
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