【ハチジョウツグミ】の名前の由来は【八丈紬】の赤褐色から
ブログに動植物のことを書いていると、その名前の由来が気になる。
ブログに「ツグミ」と「ハチジョウツグミ」を書いていて、「ハチジョウ」って「八畳」じゃないよね?
「ハチジョウ〇〇〇」という八丈島由来の動植物名は色々あるから、ハチジョウツグミも「八丈」?
ツグミ - Wikipediaの ハチジョウツグミには『和名は八丈島で捕獲されたことに由来する[3]』と書かれているけど~
「ハチジョウツグミ 由来」で検索すると
⇒ハチジョウツグミ | 京都カワセミクラブblogに『江戸時代に書かれた堀田正敦の「観文禽譜」によると、八丈島に生息してるのではなく、羽の色が八丈島産の紬の色によく似ているからそう呼ばれたという。』とのこと。
「ハチジョウツグミ 観文禽譜」で検索すると、多くの人がそう書いてますね。
でも、多くの人がそう書いているから正しいとは言えない。ネット上の情報は複数の情報源で確認しなければ!
「ハチジョウツグミ 観文禽譜」の検索結果は多数あるけど、例えば上に示したブログの記述は『~という。』であり、他からの引用と思われます。
引用ではなく、自分で調べた結果を書いていたのがこちら
⇒すずがも・八丈・藪鴬 - pokoponにっき
国立国会図書館デジタルコレクションに公開されている『観文禽譜』の「八丈つぐみ」の頁を探し出して引用している。
では私も『観文禽譜』のその頁を確認しておきましょう! って、これが大変なんですよ。
どのように大変だったか、それを記しておきますね😅
まず「観文禽譜」で検索
ところで「観文禽譜」って何て読むの? と思ってたんですけど💧「かんぶんきんふ」ですね。
そして、
⇒觀文禽譜 6巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション はトップに出てくるのですが、
その中からハチジョウツグミの記述を探すには「ハチジョウツグミ」で🔍とはいかず。
国立国会図書館デジタルコレクションは「デジタル」とは言いながら、江戸時代の文献などは、画像としてデジタル化されているだけで、テキストデータとして検索することはできないんです💧 だから「觀文禽譜 6巻」の中からハチジョウツグミを探すには(江戸時代の人と同じように)一頁一頁めくっていくんです💦
しかも、6巻(約800ページ)の何巻に何が載っているのか? 1巻の冒頭に目次らしきものはあるのですが、くずし字を読むのって難しい~
結局、1巻からポチポチポチポチ・・・頁をめくっていって、やっと! 5巻の25コマで「八丈津ぐみ」の文字を見つけました~😅
『八丈ノ産に非ズ猥ニ名ツクルノミ大サツクミノ如シ赤褐色八丈嶋産スル所紬ノ色ニ能似タリト云ヘリ』…ということで、八丈産ではなく、赤褐色が八丈紬の色ににているからです。
八丈紬の色も確認しておきましょう。
「八丈紬」で画像検索すると、ハチジョウツグミの胸の赤褐色の色に似てる~😃
さて、最後に、堀田正敦編纂の「観文禽譜」の信憑性はどうなのでしょう?
⇒観文禽譜|国立公文書館によりますと『当時としては最高最大の鳥類研究文献と評されています。』
それと、すずがも・八丈・藪鴬 - pokoponにっき では当時(恋娘昔八丈 安永4年(1775年)大ヒット)の時代背景も考察しており『当時の認識としては、「八丈」というのは地名というより、流行りの芝居に出てくる織物のことだったんだろう。』なるほど~😃
あと『八丈ノ産に非ズ猥ニ名ツクルノミ…』とは?「猥ニ」は「みだり勝手に」ということのようで、つまり堀田正敦が「ハチジョウツグミ」と命名したということかな? 堀田正敦(1755年~1832年)と恋娘昔八丈(1775年)は重なっていますね。
あ、違った。すずがも・八丈・藪鴬 - pokoponにっき には『赤褐色が八丈島産の紬の色によく似ていると言われての俗称』と書かれている。つまり「猥ニ名ツクル」は「俗称」で、堀田正敦が命名したのではなく、一般にそう呼ばれていたんですね。
※ツグミ - Wikipediaの ハチジョウツグミには『和名は八丈島で捕獲されたことに由来する[3]』と記載されており、その出典は…
3. 安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、山と溪谷社、2008年、274頁。
…となっていましたので、出典を当たってみると…
229ページ「ツグミ」の「備考」に
『昔、たまたま八丈島で捕獲されたことでこの亜種をハチジョウツグミとしたが、八丈島に多く渡来することはない。』
と記載されていました。
ん~ いつか分からない「昔」、誰が捕獲したのか? 誰がそのことを文献に記していたのか?
これなら「昔、たまたま大島で捕獲されたことでオオシマツグミとした」でも成り立ってしまいますよね💧
やはり、堀田正敦編纂の「観文禽譜」の記載が最も確実なハチジョウツグミの名前の由来だと思います。
※貝殻拾いのブログ記事で貝の和名の由来を調べると「目八譜」がよく出てくるので、
目八譜 15巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション を調べてる記事
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※草花の名前の由来を 草木図説前編 20巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション で調べた件
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