【シモバシラ】茎に霜柱の華を咲かせる植物@野川自然観察園
冬の野川自然観察はあまり見るものが無いのですが、たまには行ってみようか~と行ってみたら…
👇あれは何!?
枯れかけた草の茎に白い綿のようなものがいっぱいついてますよ😲
綿毛とかではなさそうです。もしかして霜?
近づいて見ると~
氷だ!薄い霜柱のような氷が何層にも重なってカールしてます。
朝日に照らされ輝く氷の薄片✨
自然の造形美だね~😊
でもこれ、植物の茎から生えているようだから、この植物が関係する自然現象なんですよね?
氷の薄片は茎から外側に細い筋を描いているから、茎からしみ出した水分が次から次へと凍ってできたのでしょうか?
👇薄い氷の繊維状の幕が何枚も茎から生えてます。
ほら~茎から「氷の華」が生えてる~
ということは…茎の道管からしみ出した水が凍ったんだよね。
今朝の気温は氷点下に下がったし。
茎についていた氷の薄片を手に取ってみると…
繊細な氷の薄片だから、手に取ったら「はらり」と融けてしまうかと思ったのですが、薄片が何重にも重なっているから意外にもすぐには融けませんでした。
この植物、または現象は何でしょうね?
帰ってから「植物 茎 霜柱」で🔍したら…
⇒「シモバシラ」👈そのまんまじゃん😃
そんな名前の植物があったんですね~
ところで、シモバシラはどのようなプロセスで氷結するのでしょう?
私が一番納得した説明は👇こちらのツイート
#シモバシラ(#霜柱)はシソ科の植物です。#氷柱 が出来るのは
— 向島百花園 (@MukoujimaGarden) December 20, 2022
落葉後も根から水を吸い上げ続ける
↓
冷え込んだ日に茎が凍結
↓
凍結により体積が増え、茎が裂ける
↓
根から吸い上げられた水が裂け目から流出
↓
帯状に凍結
という仕組みだそうです(*‘∀‘)#ツイッターで楽しむ庭園 pic.twitter.com/Pk8QRzWhxQ
仕組みを🔍してみると、地上部の茎は枯れても、地中の根は生きており、枯れた茎の道管を「毛細管現象」で水が吸い上げられると説明しているページが多い。
⇒「シモバシラ 茎 仕組み 毛細管現象」で検索
あれ~?でも、毛細管現象だと茎の道管の中の水が氷ったら、もう水は吸い上げられないんじゃないの?💧
氷結が起こっている部分の茎はまだ生きていて、道管の水は凍っていないのでは?
道管からしみ出した水が氷点下の外気にさらされて凍結しているのでは?
植物が水を吸い上げる力は、毛細管現象も少しはあるでしょうが、主に浸透圧による根圧と凝集力ですよね?
⇒「シモバシラ 茎 仕組み 浸透圧」で検索
ありました。1件だけ!
⇒シモバシラ(シソ科植物)の着氷観察 - J-Stage 農業気象 1988 に次の記述がありました。
『これらの実験の結果は,自然状態では,外気の水蒸気が茎表面に付着したのではなく,根から吸収された水が茎の表面から滲み出るとき氷結することを示している。前述した茎の枯死により着氷がみられない原因は,枯死によって茎への水分の供給が停止するためであろう。』
…ということで、枯れた茎の毛細管現象ではないと思います。
この論文にはシモバシラについて、他にも興味深い記述がありました。
『12月初旬に最低気温が氷点下になってもすぐには着氷現象がみられない。この時期の茎は茎皮で被われている。数回の氷結で茎皮が破れてきて,内部の木質部が現われてくると,着氷しやすくなるようである。』
『シモバシラのこのような特異な現象をおこす原因としては,シモバシラでは他の植物に比し,1)その維管束の外部への開口部が大きいか,または多数存在する,2)草本植物としては落葉しても,茎の組織の木化が著しく耐寒性が強く枯れにくい,3)茎の熱容量が大きく茎内での凍結が起こりにくい,ことなどが考えられるが,詳細は今後の検討が必要がある。』
…ということで、シモバシラのこの現象はまだまだ調査・研究を必要とするのですね。
私なんて植物好きのお気楽観察者ですから😅今回、幸運にも撮影できたシモバシラの画像をもう少し並べておしまい。
あ、氷結している高さが茎によってずいぶん違いますね。一番高く氷結している茎は、そこまで生きているのでしょうね。
枯れた茎の毛細管現象ではこの高さまで水は上がらないのでは?
ところで、シモバシラの氷の方ばかり見てきましたけど、植物としてのシモバシラってどんなの?
今は枯れた花のあとなので👇
来年、花を観察しましょう😊Webで花の画像も見られますけど⇒「シモバシラ 花」
自分の目で見てみないと🙂
あ、そうそう、自分の目で見てみたいけど、それは難しいだろうな~と思うシモバシラが氷結していく様子。その動画がありました!
何本かアップされていたシモバシラ動画の中で、感動!したのが👇こちらの動画です。
シモバシラ 動画 氷花の舞|CHAN2YOU|YouTube
01:07~が特に感動!です。👆このシモバシラの茎の色は枯れた色ではなく、まだ生きている色ですよね?
シモバシラの氷の華は「氷華」と言われているようです。
⇒「シモバシラ 氷華」で画像検索
わ~!こんなに長い氷華ができることあるんですね~
つまり、かなりの量の水を吸い上げていることになるのですが、先ほどの『シモバシラ(シソ科植物)の着氷観察』によりますと…
『付着した氷を採取して溶かして水の量を測定すると,一株あたり200mlにも達する例があった』そうです。
また、シモバシラの様な現象が他の植物でも起きるか?というと…
『シモバシラのような着氷現象は,若干の他の植物,例えばランタナ(高橋隆平氏私信)やテンニンソウやフジテンニンソウ(朝日新聞・天声人語,1980)などでも観察されているようであるが,明確に記録された例はほとんどない。』
『筆者は同じシソ科に属するアオジソで着氷がみられるかどうか観察したが,全く着氷がみられなかった。』そうです。
あ、最後に、色々引用させていただきました『シモバシラ(シソ科植物)の着氷観察』の筆者は
木村和義・田中丸重美(岡山大学資源生物科学研究所)でした。
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